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会社案内・IR情報

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東宝ホーム 本社会社案内・IR情報社長の月刊Blog
令和3年12月19日 Mr T

この時期,喪中欠礼ハガキがきます。
歳を重ねるごとに増えてくる『あぁ、あの人も亡くなったのか。』と寂しい思いになる。
25歳から34歳まで大分で最前線の住宅営業をした。今から40年から50年前のことです。
当時、日本も発展期で活気に満ちていたし、前の会社も草創期で溌剌としていました。
社員もよく働いた。私も他の社員よりも働いていたと思う。その時の習慣が、自分の性格
形成にも影響し、仕事への取り組み姿勢、考え方、行動スピードも変えたような気がしている。
今でも現場第一主義を貫いているのはこのおかげだと思っている。
大分で営業しているとき、T様というお客様と巡り会い、立派な家を建てさせていただいた。
眺望の良い南斜面の高台にT様の要望を入れた素晴らしい家でした。
丁度、正月に完成し、1月末引っ越しというタイミングで、2日間お借りして、完成見学会を
させていただいた。ふつう寒い時期に見学会に来られる方は少ないのですが、魅力的な建物
だったので、沢山のお客様にご来場いただいた。
T様は自転車の組み立て、卸し販売をしていました。
当時自転車は売れにくかったのですが、T様の会社は順調でした。
仕事が終わってからの打ち合わせとなるので、毎晩、毎晩訪問しました。
最初は受け入れてくれなったが、私のくどい位の熱心さに心を開いてくれ契約となった。
それから、T様は業態拡大を目指し、大分から福岡に進出しました。
その時のT様の働きぶりが私に大きな教訓を与えてくれました。
福岡の大野城の近くに倉庫を借り、その2階で寝泊まりしながら仕事を開始しました。
ご夫婦が倉庫の2階で生活する。大分で事業に成功し、あれほど立派な自宅があるのに、
こんな苦労しなくてもと思いました。
でも、事業を拡大するには、大分よりも福岡という考えがあったのだと思います。
ご夫婦の仕事に没頭する働きぶり、従業員に対して率先垂範する姿勢、事業とはこのように
しないと成功しないのだ。サラリーマンは甘い、厳しさが違う。
商売の厳しさを目の当たりにみせつけられました。
けれど、T様ご夫婦はきついとか、厳しいとか、口にすることなく笑顔で仕事の夢を語って
くれました。
その後、社屋を建てたいとのご希望をお聞きしました。RC構造で建てるという事でした。
当時私は別府営業所で営業所長をしており、福岡の土地に別府営業所が施工するという事は
テリトリー違反でした。またRC構造の事務所を請け負う事は禁止されていましたが、T様の
ご要望を満たすには私が前面に立つのが一番との判断で、契約させていただきました。
その後事業も順調に発展し、社屋のテナント経営も順調のように思えました。
ある時、テナントが出たので不動産業者を紹介してほしいとの依頼を受け、できる限りの
お手伝いをいたしました。
それからしばらくして、突然事業をやめられ、自社ビルも売却され、ご自身は顧問という
立場で別の会社に転職されました。
その当時のいきさつは話してもくれませんでしたし、私もお聞きしませんでした。
いくら努力してもダメな場合がある。そのように感じました。しかし、T様はいつもの前向きな
姿勢と笑顔は変わりませんでした。
息子さんがニューヨークで働かれており、一年のうち3か月くらいそちらに行っていることを
お聞きし、T様のニューヨーク在住に合わせて休暇を取り10日間ほどニューヨークの息子さんの
ご自宅で過ごしました。
そんなことでT様と益々親しくなり、大分に行くときはご自宅を訪問しました。
3年前にお伺いし、お互いに近況を話し、楽しいひと時を送りました。
そのT様が11月14日亡くなったという喪中はがきを奥様からいただいたのです。
『元気だったのに突然』と、奥様は話してくれました。
私も残念でなりません。84歳、まだまだ事業の話をし、刺激を受けたかった人物です。
合掌

2021.12.23 14:04